農業水利施設は、食料の生産に欠かせない用排水の管理はもとより、国土保全や自然環境保全などの機能を有しています。昭和24年の土地改良法制定以降、国営・県営事業等によって農業水利施設の整備が行われ、令和2年までに約23,000か所の施設が整備されてきましたが、そのうち11,500か所(50%)の施設が標準耐用年数を超えるものとなっており、さらに今後10年のうちに4,100か所あまりの施設が標準耐用年数を超えることとなります。この膨大な農業水利資産を、限られた財源の中で維持管理し、長期にわたって利用していくためには、ストックマネジメントに基づいた適時適切な補修により、施設機能の保全を図っていく必要があります。農業土木事業協会は、会員会社とともに農業水利施設の補修工事の品質確保の調査・研究に積極的に取り組んできており、これらの成果を活用して、農業水利施設の補修工事を適切かつ効率的に実施する技術者育成を支援します。
1. | 補修材料・工法が、建築や下水道等、他分野で開発されたものが多く、農業水利施設の補修工事の要求性能に合致しているかが明らかでない |
2. | 工法がコンクリート構造物の表面を被覆保護するタイプが多く、表面処理や滲出水対策といった知見の少ない分野の施工に取り組まなければならない |
3. | 補修材料・工法が、建築や下水道等、他分野で開発されたものが多く、農業水利施設の補修工事の要求性能に合致しているかが明らかでない |
といった課題があり、これらの課題に対応していくためには、補修・補強工事に対応した技術体系の整備、人材の育成・確保が必要となっています。一般社団法人 農業土木事業協会は、会員会社とともに農業水利施設の補修工事の品質確保の調査・研究に積極的に取り組んできており、これらの成果を活用して、農業水利施設の補修工事を適切かつ効率的に実施する技術者を養成することとしたものです。
農業水利施設補修工事 品質管理士は、農業水利施設のうち開水路、頭首工等のコンクリート構造物の補修に携わる分野を対象として、農業土木事業協会が実施する講習会を受講し、更に試験により一定水準の補修工事の技術を有すると認定され、登録した者に与えられる資格です。
したがって、品質管理士は農業水利施設(コンクリート構造物)の補修工事の設計・施工・施工管理業務に従事していくことが主要な活躍の場になります。
品質管理士は、補修工事の要求性能に合致した材料・工法を選定できる技術知見はもとより、品質確保のための施工管理においても適切な指導力を発揮することが期待されています。
農林水産省では、平成26年度から農村振興局所管の直轄工事を総合評価落札方式で実施をする際に「品質管理士」資格保有者には技術者評価項目で評価加点することとしました。
更に、補修工事に関する設計業務を実施する際にも、「品質管理士」資格保有者を資格要件評価項目で評価加点の対象となります。
資格取得までの流れ
Web講習受講申込 認定試験受験申込※1 |
4月~5月頃 |
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Web講習受講案内メール テキスト及び問題集※2送付 |
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Web講習会 受講 講習修了証書発行 |
6月 |
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認定試験 受験申込※3 | 4月~5月頃 |
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農業水利施設補修工事品質管理士 [コンクリート構造物分野]試験 |
7月第3土曜日 |
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合格発表 | |
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登録申込※4 | 11月~翌年1月 |
※1 | Web講習会及び今年度の認定試験を同時に申し込むことができます。 |
※2 | 認定試験の参考として練習問題を配布いたします。 |
※3 | 平成24年度から当該年度までの全ての講習修了者(修了証書を授与した者)が対象です。 |
※4 | 登録有効期限は新規登録から5年間です。 |